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神話「因幡の白兎」は、大国主命が傷ついたうざぎを助ける物語です。この物語は、日本最後の歴史書「古事記」に登場し、医療について最初の記述だそうです。そうしますと、鳥取県は”医療発祥の地”なのかもしれません。 
 
 
因幡の白兎像(鳥取)


 心臓は筋肉でできたポンプであり、一日に十万回もの収縮を繰り返して、全身に血液を送り出しています。このため心臓も多くの酸素を必要とします。この酸素は、冠動脈という心臓を養う血管を通って、血液により運ばれています。

狭心症、心筋梗塞は、この冠動脈が動脈硬化、痙攣(けいれん)、血栓などにより狭くなったり、閉塞したりすることにより発症します。狭心症には、安静型と労作型の二つの型があります。安静型は、主に夜半から早朝にかけて安静時に胸痛を自覚します。冠動脈が痙攣を起こし、一時的に閉塞する事が原因であることがわかっています。もう一つは労作型と呼ばれ、坂道を上ったり、重い荷物を運んだりしたときなど労作により胸痛を生じ、安静にすると数分で痛みは消失します。これは、動脈硬化による冠動脈の狭窄によりおこります。

これらの胸痛の特徴は、あごから下、へそから上の身体のまん中に感じる痛みで、その範囲は握りこぶしの広さに感じられます。絞めつける、重苦しい、灼けるなどといった表現をされることが多く、時として冷汗を伴うことがあります。このような胸痛発作を初めて自覚する、発作の持続時間が長くなる、たびたび発作をおこすなど、症状が次第に悪化している場合は冠動脈の狭窄が進行している可能性が高く、心筋梗塞に移行し易い危険な状態と考えられています。(不安定狭心症と特別に呼ばれることがあります)

急性心筋梗塞は、冠動脈が血栓により突然閉塞する結果、心臓の筋肉が壊死に到る病気です。ポンプとしての機能に障害が生じ、不整脈、心破裂、心不全などの合併症により、院内死亡率10%、病院到着前の死亡を合わせると30%を超える死亡率で、最も危険な病気の一つです。

狭心症・心筋梗塞は著しく生活の制限をうけたり、死亡など生命の危険を生じる重篤な病気です。したがって適切な時期に循環器専門医の診断をうけ、治療を始める必要があります。狭心症を心配して、循環器専門医を受診される方のうち、実際に狭心症である確率は1/3程度であると言われています。不安を抱えながら、心配して日々を過ごすより、まず医師の診断を受ける事をお勧めします。

医師は、発作の性質、部位、発症の状況等、問診により診断を始めます。危険因子として、糖尿病、高血圧症、高コレステロール血症、肥満(特に内臓肥満)等の生活習慣病、喫煙習慣などを持っているかも診断の助けになります。外来の検査で狭心症が疑われる場合には、短期間の入院による心臓カテーテル検査、冠動脈造影が必要となります。この検査により冠動脈のどの部位に病変(狭窄、閉塞)があるのかがわかり、治療方針(薬物治療、フーセン・ステント治療、バイパス手術)が決まります。異常がなければ、安心して生活を続けることができるでしょう。

30分以上も胸痛が続く、ニトログリセリンの舌下錠が効かないといった場合には、急性心筋梗塞の可能性が高いので、一刻も早く循環器専門医を受診してください。心筋梗塞による死亡を防ぐために、早期入院による合併症の予防と、閉塞した血管をフーセン治療などにより再開通させて、血流を再開し、完全に壊死に陥る前に心臓を助ける事が必要です。不幸にして心臓が止まったなら、直ちに人工呼吸、心マッサージを行い、救急車の到着まで休みなく続けて下さい。可能なら除細動器(AED)を使用して下さい。一般の方でも実施可能です。尊い生命を救うため、ためらう事なく行ってください。